2011/10/01

貞夫さん

ブルーノートの撮影をして以来の渡辺貞夫さんの撮影がNYでありました。
こちら、JazzLife10月号で表紙になりました。






それと、貞夫さんの新譜でCDジャケットの中身を撮影。
表カバーは巨匠、操上和美氏



なんていうか、貞夫さんを見てると、謙虚さとも違う、人間の凄さがあるんだよなあ。
謙虚っていうのは、きっと、ある程度、自分への客観性があっての行為なのかもしれなくて、
でも貞夫さんの場合は、自分が好きなことを徹底してやっていて、突き抜けている感じがする。

「ああ、今日は全然だめだー。音がまったく出てなかったでしょ」とただのフォトグラファーの私に肩を落としながら話かけてきたり、

レコーディングの合間/終わりにビデオ撮影もあって、そのためにアメリカ人クルーが何人か待機しており、しかしレコーディングの進み具合が少々遅く、待ち時間が長引いたときも、貞夫さんはわざわざスタジオから出て来て、「申し訳ないね、お待たせしてしまって」と深々と彼らの前で謝罪したり、

途中みなさんが休憩を取って食事をしている間、わたしだけ食べ物がなく、
それを知ってか知らぬか貞夫さんは「これ、食べる?これ全部食べたら吹けなくなっちゃうからさ」と、ご自分のツナサンドを半分分けてくれたり、

貞夫さんの撮影をしているときも、しばらくすると、ニカっと笑い、
「もう十分撮ったでしょ、いいよね」と言うのだが、本当にそのタイミングは完璧で、
そのとおりだったりする。

貞夫さんの音楽ももちろんのこと、そういう人間性に、わたしは惚れてしまうのだ。
人間の魅力って、どんどん溢れ出てくるもんなんだな。






終わりに・・・。

貞夫さんの奥さまみっこさんが亡くなったのをわたしは全く知らず、
彼女のメールアドレスに「お元気ですか?会いたいです」と送っていました。

みっこさんは本当に素敵な方で、東京でわざわざ時間を割いてくれ、「貞夫とよく行くのよ」と行きつけのお寿司屋さんへ連れていってくれたりしました。

みっこさん・・・。
きっと今頃、天国で貞夫さんの活躍を見守っているんだろうな。
どうか安らかにお眠りください。